営業不足が引き起こす問題や解消するための対策も解説

営業といえば花形部署であるようなイメージもありますが、近年営業が不足しているという企業も数多く見られます。営業は、会社の売上を上げることを中心としたさまざまな役割を担う部署です。したがって、営業が不足するとさまざまな問題が生じることが想定されます。
本記事では、営業不足の原因や営業不足が引き起こす問題、営業不足を解消する対策について説明します。
営業不足の原因とは
営業不足の原因として考えられることとしては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 少子高齢化および生産年齢人口の減少
- 転職や退職に関する意識の変化
- 厳しいノルマの存在
少子高齢化および生産年齢人口の減少
少子高齢化が進んで生産年齢人口が減少している今の日本では、事業を継続するのに必要な人員を確保することが難しいという企業も、多々あります。そのような企業では営業に限らず、経理や総務といった職種でも人手が不足しがちな傾向にあります。
数少ない働き手を企業同士が奪い合い、自社で採用した人員をさらに部門ごとに割り振っていかなければならないため、営業の人手が足りなくなるのも致し方ないことなのかもしれません。
転職や退職に関する意識の変化
以前の日本企業では、新卒で入社した会社で定年を迎えるまで働くという考え方が、ある程度一般的でした。しかし、転職や退職に関するハードルが下がってきたことにより、よりよい就業環境を求めて若いうちから積極的に転職を行う人が、徐々に増えてきています。
その結果、人材の流動化が進んでいるので、自社に人材を引き止めきれない企業にとっては、営業不足をより感じやすい環境になってきています。
厳しいノルマの存在
人材の流動化が進んでいるとは言っても、就業環境に何の文句もなければ、わざわざ転職を検討する人はそういません。
ただ、営業という職種は得てして売上本数や売上金額に関する厳しいノルマを課せられていることが多いので、就業環境に不満を感じやすい職種であるとも考えられます。営業で辛い思いをしている方がほかの企業に転職することによって、営業不足に陥っている企業も少なからずあるでしょう。
人材不足による営業不足について
そもそも、人手が不足しているのは営業部門だけではありません。帝国データバンクの調べによると、コロナ禍の影響で人流が制限され、一時的に落ち着いた人手不足感は、世間がアフターコロナへと舵を切るなかで再び企業の経営課題となりつつあります。[注1]
●人手不足企業の割合(2022年4月時点)
正社員 | 非正社員 | |
2018年 | 49.2% | 32.1% |
2019年 | 50.3% | 31.8% |
2020年 | 31.0% | 16.6% |
2021年 | 37.2% | 20.6% |
2022年 | 45.9% | 27.3% |
正社員・非正社員ともに、人手不足企業の割合はコロナ禍以前の水準に回復しつつあります。また、幅広い業種で人材不足が課題となっているのも現状です。
●正社員の人手不足割合(上位10業種)
情報サービス | 64.6% |
メンテナンス・警備・検査 | 60.1% |
建設 | 59.4% |
自動車・同部品小売 | 58.4% |
人材派遣・紹介 | 58.0% |
飲食店 | 56.9% |
農・林・水産 | 55.7% |
旅送 | 55.6% |
旅館・ホテル | 52.4% |
運輸・倉庫 | 52.2% |
しかし、職種別に見ると、もっとも人手が足りていないのが「営業職」であることがわかります。エン・ジャパンの調べによると、人材が不足している部門があると回答した企業の約28%が、「営業職(新規開拓・代理店・ルートセールス他)」が不足していると回答しています。2番目に多い「技術職・エンジニア(20%)」や、3番目に多い「バックオフィス職(13%)」と比較しても、営業職の人材不足が顕著であることがわかります。[注2]
●人材不足が著しい職種(上位5職種)
営業職(新規開拓・代理店・ルートセールス他) | 28% |
技術職・エンジニア(WEB・システム・ネットワーク) | 20% |
バックオフィス職(経理・総務・人事・広報・法務ほか) | 13% |
施設・設備管理、技能工 | 12% |
運輸・物流(ドライバー、警備、清掃ほか) | 12% |
[注1] 帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)
https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/sp20220526.php
[注2] エン・ジャパン:2022年「企業の人材不足」実態調査
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/29824.html
営業不足が引き起こす問題
営業は会社の売上を上げる役割を担っている重要な職種ですが、営業が不足すると、以下に挙げるような問題が生じると考えられます。
- 既存顧客との関係の維持が難しくなる
- 新規顧客の獲得が難しくなる
- 事業規模を縮小せざるを得なくなる
- さまざまなミスマッチが起こりやすくなる
既存顧客との関係の維持が難しくなる
営業が不足するということは、それだけ既存顧客との接触頻度も減少するということなので、関係性を維持するのが難しくなるということが懸念されます。
既存顧客に継続的に商品を利用してもらったり、契約を継続してもらったりすることが売上の多くの割合を占めている企業も多いと思いますので、既存顧客に対するケアは必ず行わなければなりません。
新規顧客の獲得が難しくなる
営業が足りないなかで既存顧客のケアにマンパワーを割くことになれば、当然新規顧客の獲得は疎かになる可能性が高いです。新規顧客から売上を上げるよりも、既存顧客の売上を確保することのほうがはるかに容易ではあります。
しかし、新規顧客を獲得できなければ事業としてはジリ貧になってしまうので、悩ましいところです。
事業規模を縮小せざるを得なくなる
営業が不足してしまうと、今までの事業規模を維持することが難しくなってしまうので、場合によっては事業規模を縮小せざるを得なくなってしまうかもしれません。事業規模の縮小は、機会の損失に直接的につながります。
ただ、既存顧客に対する接触頻度を維持しながら新規顧客の獲得を目指さなければならない以上、何かを切り捨てなければなりません。
さまざまなミスマッチが起こりやすくなる
営業人員が足りない場合、経理や総務などの従業員を営業に配置換えするケースもあります。ただ、そういった形で営業として働くことになった従業員の方の大半は、営業としての経験もスキルもないため、思ったように売上を上げることができませんし、不満も溜まりやすいです。
採用を行って営業の人員を確保しようとする場合、人出不足ゆえに自社にはミスマッチな人材であっても採用してしまうことが懸念されます。
営業不足を解消する対策
営業不足を嘆いたところで、営業の人数が増えるわけではありません。営業不足を解消するためには、営業活動をより効率化させることが重要になります。
営業活動においては、たとえば営業担当が交代したことにより顧客が把握している情報と新しい営業担当が把握している情報に齟齬があり、話が食い違ってしまうというようなことが起こりがちです。これは、営業担当が収集した情報が属人化してしまっているために生じる問題といえます。システムなどを活用して一元管理して組織全体として把握できるようにすれば、このようなことは起こりません。
顧客情報を管理できるシステムとしては、SFAやCRMといったものが挙げられます。「NICE営業物語 on kintone」もそのようなシステムのひとつです。顧客情報を軸にして、さまざまな情報を一元管理することができます。こういったシステムを活用することで、顧客と営業担当で把握している情報に違いが生じることがなくなりますし、事務作業の負担も減らすことができるので、営業活動がより効率化されて、営業不足を解消する一助となるでしょう。
人材不足による営業不足を解決する方法
営業活動を効率化させる方法のほか、人手不足を根本的に解消する方法もあります。
・給与や福利厚生などの待遇面を見直す快適な職場環境づくりに取り組む
・営業社員の業務負担を減らす
・シニア層や外国人労働者など、雇用の間口を広げる
・リファラル採用を導入する
・営業アウトソーシングを利用する
たとえば、給与や福利厚生などの待遇面の見直しや、快適な職場環境づくりに取り組み、雇用条件を改善する方法です。テレワーク制度を導入している場合は、営業社員のテレワークを許可することで、就職希望者が増える可能性があります。また、シニア層や外国人労働者など、多様な人材を営業社員として採用できないか検討することも大切です。自社の社員に友人や知り合いを紹介してもらう「リファラル採用」を導入するなど、採用ルートの多様化にも取り組みましょう。
新しく営業社員を雇い入れるのが難しい場合は、営業部門をアウトソーシングする「営業アウトソーシング」をおこなう方法もあります。営業アウトソーシングの手法として、営業業務を代行する営業代行サービスや、営業チームを借りるSPO(Sales Process Outsourcing)などが挙げられます。
営業不足を解消するシステム3つのポイント
営業社員の人材不足を解消するなら、ITシステムの導入がおすすめです。営業活動の効率化につながるITシステムは、マーケティングプロセスを自動化するためのMA(Marketing Automation)、営業社員の業務効率化に貢献するためのSFA(Sales Force Automation)、顧客情報を一元管理するためのCRM(Customer Relationship Management)の3種類です。ここでは、営業不足の解消につながるITシステムの特徴やポイントを解説します。
MA(Marketing Automation)を導入する
MAは日本語でマーケティングオートメーションといい、見込み顧客の獲得や育成、選別などに使われるITシステムです。たとえば、MAにはメルマガやステップメールを一斉配信する機能があります。メールを一通ずつ送信する手間がなくなるため、営業活動にかかる工数を下げながら、マーケティング効果を大きく高めることが可能です。
SFA(Sales Force Automation)を導入する
SFAは日本語で営業支援システムといい、文字通り営業社員の業務をサポートするためのITシステムです。SFAには、案件を抱えた顧客の情報を整理する機能や、進行中の商談を一覧表示する機能などがあります。SFAを導入している企業とそうでない企業では、営業活動の生産性が大きく変わります。営業社員が不足している場合は、SFAを導入することで業務効率化に取り組みましょう。
CRM(Customer Relationship Management)を導入する
CRMは日本語で顧客管理システムといい、顧客情報の管理や顧客とのコミュニケーションに特化したITシステムです。また、顧客からの苦情や問い合わせ履歴をデータベース化することもできます。MAやSFAで入力した顧客データも統合できるため、データ入力の手間を削減できるのもポイントです。
【まとめ】
営業の不足はシステム活用で乗り切ることが重要
少子高齢化や転職・退職に関する意識の変化により、営業が不足している企業は数多く見られます。
営業が不足すると既存顧客との関係の維持が難しくなったり、新規顧客の獲得が難しくなったりといった問題が生じかねません。SFAなどの営業支援システムを利用しながら、営業活動を効率化させることが重要です。
「NICE営業物語 on kintone」は、営業担当者の声から生まれたさまざまな機能をもつSFA・営業支援システムです。営業情報の共有に特化したシステムをお探しの際は、ぜひお試しください。
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