第十回:「売れる営業組織」を作る最強のツール
今回は管理職の立場で「売れる営業組織」を作るために必要なツールについて述べてみたいと思います。会社は組織も営業スタイルもそれぞれ違いますが、「売れる営業組織」作りの参考にしていただければ幸いです。

「売れる営業組織」を作るために必要なツールとは
“売れる営業組織”を作るためには、営業チームとしての情報共有が重要となってきます。どんな提案資料を持っているか、どういうプロセスで攻略しているか、どのような商品を売り込んでいるか、などなど…担当エリアが違ったり、取り扱い製品が違っても、「売れる営業」が持っているこれらの情報は大いに参考になるものです。
私の会社でも、設立以来29年間、どうすれば“売れる営業組織”を作れるかという課題に取り組んでいますが、今から15年前に当時の社長から自社用に営業情報管理システムを開発するよう指示があり、経営コンサルタントからの指導を受けながら約1年をかけて開発しました。当時はまだSFAという言葉もなかったですが、営業マンが日報を入力することにより、販売実績や商談の進捗状況が管理できるシステムとして完成しました。その後、数々の機能強化を行い、「NICE営業物語」として外販を開始し、現在では大手企業から中小中堅企業まで多くの企業が導入しています。
ツール利用で見えてきた5つの効果
①勝ちの方程式を知る
「売れる営業」はなぜ売れるのか?本人に聞いても明確な答えは返ってきません。普通のことを日ごろからコツコツと実行しているだけと言うでしょう。しかし、そこには無意識の内に緻密な準備と行動パターンが隠されています。これを見える化するのが、SFAと呼ばれている営業情報管理システムなのです。
②勝ちのプロセスを知る
商談を成約に導くために「売れる営業」はどのように行動しているかが見えてきます。グループウェアでスケジュールを公開して情報共有すれば、行動予定は見えてきます。しかし、商談のプロセスは見えてきません。「NICE営業物語」を使用することにより勝ちのプロセスを把握し、他の営業マンが参考にすることができます。
③勝ちの意識を知る
「NICE営業物語」を使用することにより、自分の数字の他に所属部署や他の部署、全社の数字をリアルタイムに把握することができます。また、ライバルの数字もいつでも見えます。これにより、数字に対する意識が高まり、何としても達成するという強い意思が生まれてきます。
④情報の鮮度を重要性を知る
商談の状況は刻々と変化します。営業管理者は今現在どのように商談が推移しているかを常に把握し、リアルタイムに指示する必要があります。そのためには、モバイル端末にも対応した「NICE営業物語」のような営業情報を管理するシステムが不可欠となってきます。
⑤時間の大切さを知る
モバイル端末の普及により、営業マンはどこからでも客先に関する情報を取得し、営業報告を送信することができます。このようにIT武装することにより営業マンは直行直帰が可能になり、時間に余裕がある豊かな感性を持った営業マンが育ってきます。
いくら多機能なシステムを導入しても、これまで述べてきた営業の資質そのものが出来上がっていないと「売れる営業」の組織は作れません。管理する側もされる側も、営業の基本となる自分なりの「営業道」を身に付けておくことが重要なのです。先輩や異業種の営業論に耳を傾け、日頃から豊かな心を持って感性を磨き、お陰様の気持ちで営業に専念することにより、この「営業道」が見えてきます。