営業DXとは?これからの時代に求められる体制づくりを徹底解説

AIやビッグデータ、クラウドコンピューティングといったIT技術の発展によって、金融、医療、広告、農業など、さまざまな分野でDXが進んできました。企業の営業活動も例外ではありません。営業活動とIT技術を組み合わせ、働き方やビジネスモデルを変革することを「営業DX」と呼びます。特に新型コロナウイルスが流行し、企業を取り巻く環境が変化した今、営業DXは必要不可欠なものになりつつあります。
この記事では、営業DXが求められる理由や、営業活動のDXを成功させるためのポイントを解説します。
営業DXとは
そもそもDXとは、デジタルツールを有効活用し、業務のあり方やビジネスモデルを変革することを意味します。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
[引用] 経済産業省:「DX 推進指標」とそのガイダンス
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf
営業活動とデジタルツールを組み合わせ、新しい価値を生み出すことを「営業DX」と呼びます。
ここでは、営業DXが求められる理由を解説します。
営業にDXが求められる理由
なぜ営業活動のDXが必要なのでしょうか。企業が営業DXに取り組む理由は2つあります。
・膨大な顧客データを管理するため
営業DXが必要な理由として、顧客視点の営業活動が求められるようになり、膨大な顧客データの管理が必要になった点が挙げられます。たとえば、顧客視点の営業手法の一つが、顧客ニーズに合致したサービスを提案する「ソリューション営業」です。また、SaaSをはじめとしたサブスクリプション方式のビジネスモデルでは、収益を増やすために既存顧客と良好な関係を築き、リピーターを増やす必要があります。そのためには、営業DXを実現し、顧客データを収集・分析する仕組みをつくる必要があります。
・営業活動をオンライン化するため
新型コロナウイルスが流行し、営業活動のオンライン化が急務になったことも営業DXが必要な理由です。たとえば、商談やミーティングはWeb会議ツールを使い、オンラインで実施することが当たり前になりました。こうしたビジネス環境の変化に対応するため、マーケティング、セールス、カスタマーサポートといった営業プロセスのDXに取り組み、データやデジタルツールを有効活用する企業が増えています。
営業DXではどのようなツールが必要とされるか
営業DXを実現するため、どのようなデジタルツールを導入する必要があるのでしょうか。営業DXに役立つツールは3つあります。
MA(Marketing Automation) | 見込み顧客(リード)の獲得や育成をオンライン化する |
SFA(Sales Force Automation) | 営業活動をデジタル化し、商談履歴や案件の進捗状況などをオンラインで共有する |
CRM(Customer Relationship Management) | 顧客情報をデータベース化し、ニーズや傾向を分析する |
MA(マーケティングオートメーション)は、見込み顧客(リード)の獲得や育成に使われるツールです。メルマガやステップメールの一斉配信など、営業活動のオンライン化に欠かせない機能を持っています。SFAやCRMも営業DXに必要なデジタルツールです。SFAは商談の獲得から受注までのプロセスで使われるツールです。商談の履歴や進捗状況など、営業活動に必要な情報をオンラインで共有できるため、テレワークやリモートワークを導入している企業も安心です。CRMはMAやSFAで取得した顧客データを統合管理し、顧客のニーズや傾向を分析するためのツールです。MA、SFA、CRMの3つのツールを導入すれば、見込み顧客の獲得からカスタマーサポートまでの営業プロセスをオンライン化し、営業活動のDXを推進できます。
営業のDX化を成功させるためのポイント
営業活動のDXを成功させるためのポイントは2つあります。
・営業DXの目的や必要性を浸透させる
・SFAを導入し、営業活動のデジタル化に取り組む
営業DXをはじめとして、企業がDXにつまずく理由は「DXへの理解が十分でなく、全社的な取り組みになっていない」点にあります。IPA(情報処理推進機構)の調べによると、全社的にDXを推進している日本企業の割合は45.3%と、全体の半分にも満たないことがわかっています。[注1]
ただデジタルツールを導入するだけでなく、従業員に営業DXの目的や必要性を伝えることが大切です。また、営業DXの第一歩として、営業活動のデジタル化につながるSFAを導入しましょう。経済産業省のDXレポート2でも、コロナ禍を契機に企業がただちに取り組むべきアクションとして、「営業活動のデジタル化」が挙げられています。[注2]
業務環境のオンライン化 | ・テレワークシステムによる執務環境のリモートワーク対応 ・オンライン会議システムによる社内外とのコミュニケーションのオンライン化 |
業務プロセスのデジタル化 | ・OCR製品を用いた紙書類の電子化 ・クラウドストレージを用いたペーパーレス化 ・営業活動のデジタル化 ・各種SaaSを用いた業務のデジタル化 ・RPAを用いた定型業務の自動化 ・オンラインバンキングツールの導入 |
従業員の安全・健康管理のデジタル化 | ・活動量計等を用いた現場作業員の安全、健康管理 ・人流の可視化による安心、安全かつ効率的な労働環境の整備 ・パルス調査ツールを用いた従業員の不調、異常の早期発見 |
顧客接点のデジタル化 | ・電子商取引プラットフォームによるECサイトの開設 ・チャットボットなどによる電話応対業務の自動化、オンライン化 |
営業活動のデジタル化は、営業組織のあり方を変革するための第一歩です。営業DXに取り組む企業は、SFAをはじめとしたデジタルツールの導入を検討しましょう。
[注1]情報処理推進機構:日米企業における DX 動向を解説した「DX 白書 2021」を発刊 ~日米比較調査により、DX 推進のための戦略、人材、技術の現状が明らかに~
https://www.ipa.go.jp/files/000093723.pdf
[注2]経済産業省:DXレポート2中間取りまとめ(概要)
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf
【まとめ】
アフターコロナの時代に営業DXの実現は必要不可欠
営業DXとは、営業活動にデジタルツールを取り入れ、営業組織のあり方を変革することを意味します。営業DXが求められる理由は、新型コロナウイルスの流行によってビジネス環境が急激に変化し、営業活動のオンライン化が必要になったためです。プロモーションやリードの獲得、商談、営業チームの情報共有など、さまざまなシーンでデジタルツールを前提とした営業手法が求められます。営業DXの第一歩として、営業活動のデジタル化が可能なSFAを導入しましょう。また、営業DXの目的や必要性を浸透させ、全社的なDXチームを作り上げることも大切です。
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